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あなたのパートナーが自分の心の傷の九○パーセントが自分の育ってきた過程に起因していることを認め、その責任を負おうとしてくれるようになれば、それは実にすばらしいことである。
この自分の過去に関する理解ができなければ、いつまでたっても相手を非難するだけだろう。
少なくとも、相手から責められ、非難されているという被害者意識にとらわれ続けていってしまうに違いない。
もし、あなたが自分のパートナーに対して、より敏感に自分の感情を察知してもらいたいと思うのなら、あなた自身が過去に経験した苦痛に満ちた感情を、相手にも経験してもらうように働きかけることである。
そうすれば、彼(彼女)は、あなたの感受性をよりいっそう理解できるようになる。
そういう意味では、私がここで言うラブレターは、それを実現させるもっとも効果的な機会をつくり出してくれるすばらしい処方箋なのである。
ラブレターを書いていきながらあなた自身の感情を掘り下げていくと、おそらくあなたは最初に自分が考えていたのとはまったく違った原因で精神的な混乱をきたしているのだという事実を発見することができるだろう。
より深い意味をもつ原因を知り、感じ、経験することによって、否定的な感情は消し飛んでいくのである。
私たちが否定的感情にすぐとらわれてしまう傾向があるのと同じように、私たちはまた、直ちにそれを解き放すこともできるのである。
次に、その実例をいくつか示してみよう。
-ある朝、ジムは目覚めるとなぜか彼女をとても疎ましく感じるようになった。
彼女が何をしても、彼には煩わしく感じられ、ただうるさいと敬遠したくなってしまったのだ。
そこで彼は彼女にラブレターを書くことにした。
そのプロセスの中で、彼が本当に精神状態を混乱させてしまった原因は、彼自身の母親による世話のやき過ぎだったことを発見した。
小さい頃の彼は、ずっと母親の過剰なまでの監督下に押さえられていたのである。
その感覚が、にわかに湧き起こってきた。
そこで彼は次に短い手紙を母親宛に書いた。
その手紙を書くために、彼は母親の監督下に置かれ、抑圧感に苛まれていた時代に戻った自分をイメージするように試みた。
彼はこの手紙を書き終えた後、直ちに自分を取り戻し、もはや相手に対して疎ましくも煩わしくも感じることがなくなった。
彼と知り合ってから数か月、激しい恋愛に身を焦がしてきたリサは、このうえもなく幸福な日々を過ごしてきた。
だが、ある日突然、わけもない嫌悪感のようなものを恋人に対して覚えるようになった。
だが、彼女はラブレターを書いていくにつれ、本当は自分が彼に充分なことをしてあげていないのではないか、そして、彼はそんな自分にもう愛情を失ってしまったのではないかと恐れているのだということを発見していったのである。
彼女自身の内側奥深くに潜んでいた恐怖心に気がついたリサは、そのおかげで再び彼に対して強い愛情を感じ始めることができた。
夢のようにロマンチックな一夜を共に過ごしたビルとジャンは、その翌日、激しい喧嘩をしてしまった。
それは、ビルがちょっとした約束事をやり忘れてしまったことに対してジヤンが少しばかり腹を立てたのが発端だった。
いつものような冷静で自制心のある反応を示す代わりに、彼はその時、いますぐ別れたいと思うほど自分を失ってしまっていた。
後になってラブレターを書いてみると、彼が本当に恐れていたのは彼女から去られ、あるいは捨てられてしまう自分の姿だったことに気がついた。
彼は、子供時代に自分の目の前で両親が喧嘩したのを見てどのような感情をもったのかを思い出したのだ。
そこで彼は両親に向かって手紙を書いた。
すると、たちまち妻に対する深い愛情を再び感じ始めることができるようになった。
スーザンの夫、トムは毎日、仕事に追われて時間の中を綱渡りのような生活を送っている。
ある晩、トムが帰宅すると、スーザンはものすごい剣幕で怒り出した。
頭の中では彼が忙しいことは充分承知しているのだが、感情的にはどうしても押さえることができなかった。
そこで彼にラブレターを書くことにしたのだが、そのプロセスで彼女は自分が本当に怒りをぶつけたかったのは自分の父親であることを発見したのである。
彼女の父親は、小さい頃に自分と母親を残して家を出て行ってしまった。
残された彼女は、生活が荒れ、自分に辛く当たる母親との二人暮しの中で言い知れぬ無力感と疎外感にさいなまれながら育った。
その時の感情が、ここへきていやされるために匙ってきたのである。
彼女は、自分の父親に向けてラブレターを書いた。
すると、たちまちのうちにトムに対する怒りの感情は胸の中からすっかり消し飛んでいった。
ラケルはフィルにひと目惚れして、ひとり片思いに胸をときめかせていた。
日を追って恋しい思いは募るばかりである。
そんなある日、「愛しているからつき合ってもらいたい」とフィルのほうから彼女に申し込んできたのだ。
ところがその翌日、彼女の気持ちは突然に変わってしまった。
彼女は彼に対して大いに請疑心を感じはじめ、急激に情熱を失っていったのである。
彼女は、彼にラブレターを書くことにした。
そのプロセスの中で彼女は、実は自分が父親に対して怒りを感じていたことを発見した。
彼女の父親は、母親に対して非常に受け身で、自分からは何の愛情表現もしようとはしない人間であった。
それは母親を深く傷つけていたのである。
父親に向けてラブレターを書き終え、自分の内側に不完全燃焼のまま残っていた否定的な感情をすべて吐き出した彼女は、直ちにフィルに対する愛情を取り戻した。
ラブレターを書き始めようとしても、常に過去の記憶や感覚が直ちに匙ってくるとは限らない。
だが、あなたがしだいに自分の心を聞き、自分自身の感情奥深くに入り込んで行くうちに、あなたの精神状態を不安定なものにしているのが、過去にあった何かに関する潜在的な記憶や感覚であることがより明確になっていくのである。
最初の頃の情熱を取り戻したいこれまで見てきたように、愛情は私たちの過去の不安定な感情を匙らせ、湧き立たせるのと同じように、私たちが望んでいることを叶えてくれもする。
このことをはじめて学んだ時のことを私はよく覚えている。
もう何年も前のことである。
ある晩、私は当時の恋人とベッドを共にしたくなり、彼女にそれとなく誘いをかけた。
だが、彼女はそんなムードではなかった。
私は、それを受け入れざるを得ず、すぐにあきらめた。
次の日、私は再びほのめかしてみた。
だが、彼女の反応は同じだった。
その次の日も。
二週間もすると、さすがの私もいらだちの気持ちを押さえようがなくなってきた。
だが、その内の私は、まだ気持ちをうまく相手に伝える方法など知りようがなかった。
そのために、自分の気持ちやフラストレーションを彼女に向かって訴える代わりに、私はそれでいかにも自分が満足していて何もかもがOKであるかのように装っていなければならなかった。
私は、自分の否定的な感情をすべて心の奥深く、ぎゅうぎゅうにしまい込み、そのうえで相手を愛そうと努力しなければならなかったのである。
だが、その二週間の間に私のいらだちは日増しに募っていく一方であった。
私は、自分の持てる力をフルに尽くして彼女を喜ばせ、幸福感を与えようと努力をした。
だが、それはあくまでも表面的なもので、実を言えば心の中では彼女の拒絶に対していらだち、憤っていたのである。

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